平昌五輪から約2年ぶりに競技用で舞った『バラード第1番』や『SEIMEI』。「伝説として語り継がれるような記録を持ってしまっている子たち。できれば寝せてあげたかった」と表現した羽生は、熟成された演技を「ワインとかチーズ」と形容した。その華麗な演技に表現の深みと力強さを与えてくれたのが、もがきながら滑り続けた『秋によせて』であり『Origin』。「諦めないで追いかけ続けたからこそ、今のSEIMEI、バラ1があると思う」。敬意を込めた名曲たちに「ありがとうと言いたい」と感謝の思いを述べた。

 羽生は忘れない。

 SP『秋によせて』は18年11月のGPロシア杯で世界最高の110.53点をマーク。昨年12月の全日本選手権では死力を尽くし、非公認ながら110.72点を叩き出した。昨年11月のスケートカナダでは、フリーの難関プログラム『Origin』で自己最高の212.99点。昨年12月のGPファイナルでは、もがきながらも4回転4種5本に着氷した。「あの2人はちょっと目上なんですよ」。独特の表現で語った名プログラムたちと、記憶と記録をしっかり刻み込んだ。

 自らが進んだ道、その時間は決して無駄ではない。羽生が描くエッジの軌道には、全ての経験が凝縮されている。

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