ところがSVFの投資先は、ほとんどが未上場のユニコーン企業であり株価はありません。このような未上場企業の価値(公正価値)は、その企業が将来にわたって生み出すであろう利益やキャッシュ・フローを予測し、現在の価値に戻して計算(評価)するのが一般的です。
しかしそれを予測するのは、企業の経営者や幹部、会計士などで、株主などの外部者には評価の根拠が見えません。さらに評価額は、あくまで予測値にすぎないため、状況の変化によってはウィワーク社のように見込みが大きく下振れて、企業価値を減額しなければならない可能性もあり得るのです。
ここで、投資家(株主)として持つべき重要な視点があります。本来、企業の決算書は、1年間の企業活動によって得られた売上や利益などの“結果”が示されたもの。ところがソフトバンクGの決算書には、SVFの投資先企業が今後生むであろうキャッシュ・フローが営業利益に反映されています。これは結果ではなく“予測”であり、「利益の質」が違うことに注目しなければなりません。
では投資家は、決算書からどのように「利益の質の違い」を見分ければよいのでしょうか。後編記事「『決算書』でわかる ライザップとソフトバンクの意外な共通点」で、話題となったあの会社の決算内容とともに、その方法をご紹介します。
※「『決算書』でわかる ライザップとソフトバンクの意外な共通点」へつづく