土合:それも同じだと思います。フリークエンシーと認知率・購入意向率を調査・分析することで、合理的にプランニングできる。むしろ、オンラインは1週間くらいでデータが出てくるし、ターゲットの反応に対して比較的手軽にクリエイティブを変えることもできるので、より効率的に広告が打てるでしょう。

足立:オンラインはマスと違って、PDCAサイクル<Plan(計画)、Do(実施・実行)、Check(点検・評価)、Act(処置・改善)の略>をすごく速く回せることが、強みですよね。たとえば、オンライン広告では、20種類以上のクリエイティブを作って同時に配信して、反応の悪いものは落とし、反応のいいものにクリエイティブを寄せていきます。テレビのように、すごい15秒コマーシャルをひとつ作ってドンと流すというのではありません。とりあえずいろいろ作ってみて、まずユーザーに伝えてみて、走りながら改善していくということがオンライン広告ではできるわけです。

土合:メディアによって使い方が全然違ってきますよね。たとえばテレビは、1回買ったら1回オンエアされて終わり。そして、だいぶ時間が経ってから効果があったかどうかがわかる。その時には「あー、今回はうまくいかなかったね」で済んでしまうわけです。一方、オンラインはすぐに結果がわかるし、かつ修正できるから、その後の運用、次の手、その次の手をプランニングしていくことがすごく大事なんですね。つまりオンライン広告は、その運用も含めてプランナーの仕事なんです。なので、1回プランニングしたら終了のマス広告だけをやっているプランナーには、オンライン広告のプランニングができないわけです。

足立:本当はマス広告でも、修正ができるといいんですけどね。

土合:現状ではそれが難しい。特にテレビの場合は、オンエアが始まったら、もうどうしようもないですね。理屈的にはどのメディアのプランニングも似ているはずなのですが、現状はだいぶ違うわけです。だからこそ、改善していく余地が大いにあるともいえるのですが。

足立:オンライン広告も改善すべき点があるように思います。どうやってCTR(Click Through Rateの略。クリック率)を上げるか、CPC(Cost Per Clickの略。クリックの単価)を上げるかといったことに追われて、業界全体が消耗戦になっていて、どんどん疲弊していている印象です。

土合:繰り返しですが、メディア全体で効果を最大化しないと意味がないということに、マーケティング担当者が気づいて、全体をプランニングするようになれば、そういった消耗戦も減るのではないでしょうか。

足立:結局、必要なのはブランドやキャンペーンの認知度なんですよね。GRPでもCTRでもない。マスメディアもオンライン・メディアも全部込みで、そのブランドやキャンペーンの認知度がわかる指標をつくって、いかに両方のメディアのバランスをとって効率化していくかを考えることが求められていると思います。

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