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「マーケティング」とは一体何なのか?
【対談相手である、マーケティングのスペシャリスト・足立光氏はこちら】
言葉は定着すれど、業務は複雑化するばかりのマーケティングだが、実は大原則があった……。
P&G、ヘンケル、ワールド、マクドナルド、そして現在はPokemon GOなどを制作するナイアンティックに在籍する経営とマーケティングのスペシャリストである足立光氏と、日本コカ・コーラ、20世紀フォックス ホームエンターテイメントなどを経て、現在は外資系映画配給会社の日本におけるマーケティングの責任者として最前線にいる土合朋宏氏が、共著『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』を刊行。これを記念して、「テレビとオンライン、どちらが効果的なのか」についてのお二人の対談を特別に公開する。
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足立:メディア広告のプランニングにおいて、男女、年齢問わず、全部にリーチしたい場合には、やはりこれまで通り、マスメディアが「主」で、オンライン・メディアが「従」という考え方のほうがいいのでしょうか。あるいは順番として、マスメディアが先で、オンラインは後と……。
土合:もちろん、製品・サービスにもよりますが、基本的にはどちらでもかまわないでしょう。ただ、特にテレビは「効率」がいいですから。
足立:たしかに。今この瞬間、リーチを広げたいと思ったら、コスト的にはテレビが圧倒的に「安い」ですよね。それを踏まえた上で、「マスメディアとオンライン・メディア、両方でプランニングしていく」というのが、今求められている基本的なメディア選びの考え方だと考えています。ところが日本では、マスメディア担当の部署とオンライン・メディア担当の部署が別、という企業がほとんどでしょう。
土合:そうですね。担当部署が一緒になっているのは一部の企業だけですね。全体で効果を最大化しないと意味がないのに。
足立:誰か一人がメディア全体を見たほうが、圧倒的に効率化できるはずですね。
土合:誤解を恐れずにいえば、日本のメディア広告の現状は「ザル」だと思います。たとえばテレビCMでは、「過去の新製品ではxxGRPでした」とか「競合はxxGRPです」とか、そんなデータしか集めずに、「競合に対抗するためには彼ら(あるいは自社の過去実績)と同数以上のGRPが必要です」などと決めている。実は、そこにはロジックがないんですよ。もっと合理的にできる余地があるわけです。
足立:オンライン広告しかやらないという会社は、どうすればいいのでしょうか。