こんな中でも、ドラマや映画で売れっ子のメイクさんたちに聞くと、今年のスケジュールはすでに全部埋まっているらしいんですよね。よくよく聞くと、すべてNetflixなどの配信番組でした。だんだん50代ぐらいまでの人が、普通に配信で番組を見るようになってきているし、制作費も地上波より高くなっています。日本ではテレビ局だけじゃなく、企業もスポンサーも金がない。もうアベノミクスなんかどこへ行ったんだっていうぐらい、経済が伸びていませんからね。

 一方で、アメリカや中国には金がある。下手すると今後は、テレビ局のスポンサーにアメリカや中国の企業が入ってくるということもあるかもしれませんよね。そうすると現場も変わってくるでしょう。

 業界の人たちに聞くと、アメリアに本社がある配信会社の番組は、ドラマでもすべての台本を一度英訳して、本社のチェックを受けるらしいんです。例えば、4話で出会うはずだったカップルが、本社の指示で1話に出会うようにするとか、そういう直しが結構あるそうなんです。日本のドラマによくあるもどかしい展開は、海外ではウケないからダメだとか……。「逐一、うるさい」という声も聞きます。

 そうなると、数字に裏付けされた展開や儲かるドラマを作るようになるし、ハリウッド式になっていくんでしょうね。それに、配信番組の制作費は後払いになることが多いらしく、体力のある制作会社じゃないと受けられない仕事だとも言われています。地上波の番組は作っても赤字ですからね、ますますそちらに流れる傾向は強くなっていくんじゃないかと思っています。

 テレビ局内の働き方改革も、部下であるADだけが定時で帰ってしまったり、上司と部下の賃金の差が少なくなっていったり、もちろん良い変化ではあるんだけど、仕事が回らないこともあったりして、現状では業界が衰退していく一つの要因になっているような気もします。そういった変化が、「ドラマの再放送」という形で顕在化したと言えると思います。

 まあ、視聴者の好きな番組も、選ぶメディアも分散しているので、この変化は止められないでしょう。2020年は東京オリンピックもあり、テレビ局にとってさらに激動の1年になることは間違いないと僕は思っています。

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