また「イッテQ」といえば、司会の内村光良はかくし芸にも入れ込み、アクション芸で沸かせた人だし、ベッキーは不倫騒動で降板する直前、青木さやかがかくし芸でやった「ひとりオーケストラ」に挑戦したりしていた。

 というわけで、今も正月、そしてそれ以外の時期にも、かくし芸のようなことはテレビのあちこちで行なわれている。わざわざ年に一回の楽しみとして「新春かくし芸大会」を見るまでもないわけだ。

 そうはいってもやはり、あの盛り上がりと熱さと一抹の徒労感がちょっと懐かしかったりもする。思えば、かくし芸が始まったのは、前回の東京五輪が開催されたほか、新幹線開業や海外旅行自由化が実現した年。この懐かしさは、高度経済成長からバブルへという時代の右肩上がりの日本への郷愁でもあるのだろう。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など。

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