「新春かくし芸大会」(フジテレビ系)が終了して、10年が過ぎた。前回の東京五輪が行なわれた1964年に始まり、2010年まで47年間続いた伝説のテレビ番組である。最高視聴率は、80年の48.6%。じつに国民のほぼ半分が見たわけだ。「NHK紅白歌合戦」や「輝く!日本レコード大賞」(TBS系)と並んで、大晦日から元日にかけての風物詩でもあった。
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19年5月には「梅沢富美男のズバッと聞きます!」が、これを特集。マルシアが「東京サルサ」という演目を披露した際、50点中44点という低評価をされたことに怒り、スタジオを飛び出した出来事の顛末が紹介されたりした。
また、田原俊彦が顔面に火傷を負った「ファイアーダンス」やシブがき隊が手を血だらけにした「空中ブランコ」の映像を見た事務所後輩の高橋海人(King & Prince)は、
「よくジャニーさんとお会いする時に、今の子たちはもっと体張ったほうがいいって言われてて。昔のジャニーズはすごかったんだからって。オファーが来たらやろうかなって思うけど、自分の口からは絶対に言わない(笑)」
と、驚いていたものだ。
■ミスターかくし芸の堺正章
そんなエピソードを語るうち、この怪物番組の構成や雰囲気を思い出した人も多いだろう。獅子舞からのケンカというお約束のオープニングに始まって、奇術や舞踊、楽器演奏、スタントといった古今東西の芸に個人やグループで挑戦。なかでも毎年注目を浴びたのがミスターかくし芸こと堺正章だが、もうひとりの象徴は、毎年銅像になってむちゃくちゃにされるハナ肇だった。
また、映画やドラマのパロディを日本語だけでなく、英語劇や中国語劇でも展開。これを得意にしていた井上順は「インディージュンズ」などに主演し、西城秀樹は「市ヶ谷行進曲」で階段落ちに挑んだ。松田聖子は「おせん」で貧乏な百姓娘に扮し、そこに明石家さんまがアミダばばあで登場。英語劇「かぐや姫」では子門真人が「およげ!たいやきくん」を英語で歌ったりした。なお、個人的なベストアクトは、研ナオコがE.T.に扮した「E.T.e.」である。