大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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「働き方改革」は、休みがとりづらいと言われる医療現場でも求められています。女性医師がキャリアを継続しづらい環境を変えるには、どうしたらいいのでしょうか? 診療科の中で、女性の割合が多いことで知られるのは皮膚科。好評発売中の『心にしみる皮膚の話』の著者で、京都大学医学部特定准教授の皮膚科医・大塚篤司医師が、女性医師が働きやすくなるような医療現場について語ります。

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 2018年、医学部受験での女性差別が問題となりました。一部の大学で、女性受験生が不利になるよう点数配分をしていたことが報道されました。

 私の出身校では、当時、医学生の約4割が女性でした。女性比率が高い医学部でしたが、近年は全国的に女性医師の比率が上がってきています。

 例えば、皮膚科では女性の割合が非常に多いことが知られています。2011年の日本皮膚科学会の調査では、30歳以下の皮膚科医における女性医師の割合は70%です(日皮会誌:175-179, 2011)。そのため、学会をあげて女性医師のキャリア支援に取り組んでいます。

 皮膚科は内科や外科に比べると救急対応が少なく、女性医師が働きやすいという背景もあります。それでも、出産を契機に仕事から離れ、医師を継続できない女性もいらっしゃいます。

 医療の現場では、まだまだ女性医師が仕事を続けにくく、つまり、女性医師がキャリアを継続しづらい環境です。また、家庭の事情によっては自分のキャリアプランを描きづらいというネックもあります。

 本来であれば、家事や育児は男女が協力して行うものですが、女性医師のパートナーは男性医師である場合も多く、どうしても女性医師側にしわ寄せがいってしまうのが現実です。

 その上で、女性医師が働きやすくなるような医療現場を作る必要があります。

 私は、これまで多くの女性医師の後輩を持ち、彼女たちの仕事を見てきました。皮膚科という限られた医療現場ではありますが、今回は現場でとりくむべき改善策を三つ提案したいと思います。

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