【1】医師の有給消化を認める雰囲気作り
子育て中の女性医師には、急遽、仕事を休まなければならない状況が訪れます。例えば、お子さんが保育園で熱を出した場合、一般的には女性が仕事を休んでお子さんを迎えに行くほうが多いのではないでしょうか。
休みを取ることに抵抗を感じる職場環境では、女性医師は肩身の狭い思いをします。そして、休めない職場の雰囲気というのは、休まずに働いている同僚が作り出している場合もあります。
「あの人ばかり休んで」という思いは伝播し、本人も感じ取ります。
この雰囲気を解消するには、誰でも有給休暇をとれる職場にすることだと思っています。休む理由は特に必要なく、説明することも求められずに、勤務している医師が平等に有給休暇を取れることが大事です。
私の職場では、男性、女性関係なく休みを取りやすい雰囲気ができつつあり、男性医師も熱を出したお子さんを迎えに行くのが普通になっています。
【2】患者さんへの説明は勤務時間内で行うこと
医療現場ではインフォームドコンセント(説明と同意)が必須となり、随分と時間がたちました。病状の説明、治療の説明を患者さんとその家族に丁寧に行い、理解していただく行為は、治療を安全に行っていくうえで非常に重要です。
しかし一方で、説明を聞く時間がないとする患者さんのご家族の意見も耳にします。
「現在入院中の〇〇さんの病状について説明したいのですが、病院にお越しいただけますか?」
と、ご家族の方に連絡をとると、
「仕事が休めませんので、平日の夜か土日にお願いします」
と、返事が返ってくることがあります。
医師の勤務体制はシフト制ではないため、患者さんに説明する時間は医師にとっても「平日の夜」や「土日」であり、つまり時間外勤務です。
緊急を要する場合は別として、お互いに無理のないように時間調整をしたいものです。
2015年からオンライン診療がはじまり、18年4月からは保険適用となりました。
オンライン診療に関してはルールができましたが、患者さんのご家族への説明に関しては特に制限がありません。今の時代、オンラインでのインフォームドコンセントも可能ではないでしょうか。