1990年代以降、ミスコンに対して「女性差別」という観点からの批判は、キャンパスで少なくなり、「粉砕」もほとんど起こらなくなった。2000年代に入ってから、東京大、慶應義塾大、立教大、青山学院大などでミスコンが盛んに行われるようになる。
一方で、大学では多様性を尊重するという考え方が広がっている。女性だけでなく、性的少数者、年齢、国籍、人種、民族などによる違いで差別してはいけない、すべて尊重すべきである、という考え方だ。
2011年、国際基督教大でミスコン開催を予定していたが、「ICUのミスコン企画に反対する会」の批判もあって、中止となった。同会はこう訴えている。
「私たちは、人種的、身体的、階級的に画一的な女性の美のイメージの強化をもたらし、女性の性的対象化の道具として機能してきた歴史をもつミスコンに、そもそも反対します。ですから私たちは、ICUの外においても、差別的な電車のつり広告やミスコンに反対します。基本的な人権、および多様な人間のあり方が尊重される社会をめざす私たちは、当然ICUでのミスコン開催にも反対します」(「ICUのミスコン企画に反対する会」のウェブサイト)
このなかで、「基本的な人権、および多様な人間のあり方が尊重される」という訴えは、法政大がミスコン、ミスターコンを容認しなかった理由に通じるものがある。
さて、ミスコンでもっとも注目されるのが、慶應義塾大である。同校では、今年の三田祭で二つの団体が慶應ミスコンを企画し、のちに一団体が取りやめるというゴタゴタがあった。慶應のミスコン入賞者からは多くの女性アナウンサーが輩出してきた。アナウンサーの登竜門的な役割を果たし、メディアにすれば格好なコンテンツとなった。学生にとってもこれほど盛り上がるイベントはない。だが、昨今、慶應では主催者が不祥事を何度か起こしたことで、ミスコンの評判は学内外であまりよくない。
大学もかなり気にしていたようだ。慶應義塾大はこんな告知を出している。