さらに、予防接種によってインフルエンザから赤ちゃんを守ることにもつながることが研究結果から分かってきています。デンマークのMølgaard-Nielsen氏らは、妊婦さんにおけるインフルエンザ感染に対する妊娠中の予防接種の有効性は63.9%であり、生後6カ月未満の乳児において確認されたインフルエンザ感染に対する妊娠中の母体のワクチン接種の有効性は56.8%であったことを2019年に報告しているのです。

 つまり、お母さんと赤ちゃんの両者をインフルエンザ感染から守ることができるのです。
 
 もちろん、インフルエンザの予防接種を受けることに加えて、手洗いうがいをこまめに行う、人の多いところを避けるなど、日頃の予防も大切になることは、老若男女や妊娠の有無を問わず大切です。

 もし、インフルエンザに感染してしまったとしても、抗ウイルス薬による早期治療は妊婦さんにとって重要です。CDCでは妊婦さんがインフルエンザ症状を認めた場合には、症状出現後48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬による治療を勧めています。インフルエンザ症状が見られた場合には、早めの医療機関の受診をしてください。

 まだまだ、インフルエンザの流行は、まだまだこれからが本番です。予防接種がまだワクチン未接種の方は、ぜひ早めに医療機関を受診して、予防接種を済ませてくださいね。

◯山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。

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