大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 薬の副作用はいろいろとありますが、その中で、皮膚に副作用がでることもあります。新しい薬に変えてから体がかゆくなった。赤いブツブツができた、と皮膚科を受診する患者もいるようです。好評発売中の『心にしみる皮膚の話』の著者で、京都大学医学部特定准教授の大塚篤司医師が、重症化する可能性がある皮膚の副作用の前兆の症状を紹介します。

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 先日、実家の父親が心筋梗塞(こうそく)になりました。

「胃が痛くて眠れないようだ」と母親から私は連絡を受け、父親はかかりつけの開業医さんに行くも診断はつかずに帰宅。

 翌日、少し離れた総合病院を受診して心筋梗塞と診断され、緊急入院となりました。

 私の専門は皮膚科です。それでも、学生時代はすべての診療科を勉強していますし、研修時代に心筋梗塞を何例か経験しています。

 父親の症状を聞いて心血管系の重大な病気を疑ったのですが、開業医の先生の診察で帰された後では強く言えず、自分のふがいなさに反省と後悔。

 幸い、父親に後遺症は残らず元気になったのですが、医者として「なにかおかしい」という感覚を大事にしたいと強く感じた出来事でした。

 そんな父親が電話口で

「心臓の薬を飲み始めてから体がかゆい」

 と言い始めて、主治医へ報告するのをためらっていたので

「しっかり伝えなければいけないよ」といつもよりキツめに言いました。

 薬の副作用はいろいろとあります。その中で、皮膚に副作用がでるのを薬疹(やくしん)と言います。新しい薬に変えてから体がかゆくなった。赤いブツブツができた、と皮膚科を受診する患者さんがいらっしゃいます。

 皮膚がかゆいだけでも、夜に寝られなかったり昼間に集中力をそがれたり、日常生活に大きな影響を及ぼします。

 薬疹は重症になると命に関わります。重症の薬疹には名前がついていて、中毒性表皮壊死(えし)症(TEN)やStevens-Johnson症候群(SJS)と呼ばれます。

 すべての薬疹が重症へと変化するわけではなく、軽症で終わるものもあります。ブツブツの見た目は派手だけれども軽症のものと、この症状は重症に移行する可能性があるから注意が必要なものと分かれます。

 今回は、重症薬疹として対応すべき症状、また、今後重症に変化する可能性がある前兆の症状三つを紹介します。セルフチェックの参考にしてください。

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