「だからこそ、撮影データを見せて相手に確認をしてもらう。それでも納得しなければ警察官に立ち会ってもらって、風景の一部として人を撮っていたのだから肖像権の侵害にはあたらないことを説明することが大事です。
警察官には、ご自身のスナップへの熱意や意義(文化的な活動であること、国家が介入してはならないということ)を語るくらいでもいいかもしれません。相手の許可を得ていないからといって、それが違法な盗撮や肖像権の侵害になるわけではないことは覚えておきましょう」(三平弁護士)
部外者から絡まれる、警察を呼ばれる、データを消せと脅される……これまでみてきたように街中でのスナップ撮影は多くの「リスク」と隣り合わせだ。
だが、悪意を持った撮影でない限り、法律的にも写真を撮る権利は認められており、必要以上に怖がる必要はない。もちろん、撮る側も被写体への配慮や謙虚な心がけを忘れてはならないが、それでもトラブルをゼロにするのは難しいだろう。三平弁護士はこう語る。
「肖像権も街中で書面を交わすわけではないので、アイコンタクトをしても後で何か言われる可能性は残ります。そのリスクを軽減するために事前に許諾を取るのも一つの方法だし、リアルな姿を撮るために許諾は取らずに多少のリスクは覚悟するという人もいるでしょう。結局、どんな写真表現をしたいかという個々人のポリシーの問題になってくると思います」
過剰にクレームを恐れることはない。主張すべきことは主張し、臆することなくスナップを撮ってほしい。
取材・文=作田裕史(編集部)
※『アサヒカメラ』2019年11月号より抜粋