■現場トラブル04【「盗撮だ」「肖像権侵害だ」と言われたら…】

 これまで紹介してきた回答にもあるが、街中で撮影をしていると「盗撮をされた」とあらぬ疑いをかけられる人は多い。さらに、権利意識が高い人の場合は「肖像権の侵害だ」というクレームにも発展しているようなので、撮る側もきちんとした知識を持っておく必要がある。

●広角レンズで、風景を入れて撮影していたのですが、たまたまその中に2人の人物がいて、「盗撮だ」「肖像権侵害だ」と言って騒がれました。盗撮でも、肖像権侵害でもないと言って説明しましたが、結局は相手方から「撮影者の人格の問題だ」と言われて一蹴されてしまいました。(60代男性/写真家

●まだSNSもなかった頃、表参道で通りの風景を撮影していたら、某オープンカフェにいた外国人に「肖像権を侵害しているから撮影するな」とすごいけんまくで怒鳴られた。外国人の肖像権の意識は高いなと思った。(40代男性/職業不詳)

 まず、盗撮に関しては誤解されていることも多いが「被写体に黙って撮る」こと自体が犯罪行為にあたるわけではない。わいせつ目的で盗撮をすれば「迷惑防止条例違反」という犯罪行為にあたることがあるので用語の使い方が混同されてしまっているが、これはまったく別の行為だ。

 三平弁護士によると、同じ「盗撮」でも法的に問題がないものから、民事責任、刑事責任が問われるものまで段階的に区別することができるという。「(1)被写体の承諾がある(盗撮ではない)」場合はもちろん、「(2)被写体の承諾はない(日常用語としての盗撮と解釈されることもある)が、肖像権侵害、迷惑防止条例違反ではない」場合にも何の責任も問われない。

「(2)は特定の人物をアップにしていない風景の一環として写しているものなら、問題ありません。もちろんわいせつ目的でなく、服で隠されている下着や胸、陰部などが写っていないことが前提です」(三平弁護士)
 
 次に、民事責任が発生するのが「(3)被写体の承諾がなく、肖像権を侵害している」場合。望遠レンズなどで無断で撮影したうえ、明らかにその人の顔を狙ったことがわかるような写真の場合、相手から画像の削除を要求されたり、経済的な損失が出た場合は賠償を要求される可能性もある。

 また、女性のスカートの中を無断で撮影したり、着替えの場面を隠し撮りすれば、「(4)被写体の承諾はなく、刑罰のある法律や条例に違反する」ので、刑事責任が問われる。(4)は論外だが、(2)と(3)には撮られた側の主観も大きく作用してくる。

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