そして、11対2と大勝した試合後、お立ち台に上がった杉谷は「メジャーはサイレント・トリートメントですが、あれはサイレント・サイレントで、ただの無視ですよね。セギノール以来ということで、これから“スギノール”として頑張っていきたいです!」とコメントし、スタンドのファンを笑わせた。
チームの連敗を「4」で止めたにもかかわらず、「(杉谷の本塁打は)見ていなかった」とナイン同様、“いじり”を入れた栗山英樹監督だったが、最後は「結果的に大きかった」とフォローしてくれた。
試合前のセレモニーで、杉谷が吉本の芸人をも脱帽させる“やらかし”を演じたのが、今年5月11日の西武戦(札幌ドーム)。
地元・北海道出身のお笑いコンビ・タカアンドトシの始球式で、杉谷が右打席に立った。タカがマウンドで投球し、トシは三塁を守り、杉谷はそれを打ち返すという趣向。鋭い当たりが三塁に飛び、トシが“プロの打球”に驚きの表情を見せれば、バッチリ絵になるはずだった。ところが、タカの投じたストライクボールを杉谷が一振すると、なんと打球は捕手の頭上を越えていくファウルチップに…。
まさかのハプニングにスタンドから笑いが起き、打ち損じた杉谷も「やっちゃったよ。マジで……」と苦笑。
「あのパターンは想定していませんでした。オレらが緊張して笑いを取る余裕がなかったのに、杉谷さんに笑いを取ってもらった」とタカが脱帽すれば、「ファウルチップは一番ダメでしょ!」とツッコミを入れたトシも「現役引退したら、お待ちしています」と吉本入りを勧誘。あまり冗談に聞こえないのも、杉谷の杉谷たる所以か?
●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。
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