
2014年ソチ、2018年平昌五輪を連覇した羽生結弦(ANA)から今季も目が離せない。10月25日(現地時間)からGPシリーズ第2戦のスケートカナダがケロウナで開幕。シニア10年目となる24歳の本格的なシーズンがいよいよ始まる。
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今季、羽生が自らに課したテーマはシンプルだ。伝説プログラムの完結――。今年3月の世界選手権(埼玉)では2位となり、雌伏の時を経て、出した答えが昨季と同じ演目の選択だった。ショートプログラム(SP)曲「秋によせて」、フリー(FS)曲「Origin」。SPでは昨年11月のロステレコム杯で叩き出した110・53点が世界最高得点に君臨している。だが、羽生は「SP、フリーとも、まだ自分の中で完璧のものができていないのが心残りだった」と明かす。
その2曲にこだわる深遠な理由もある。「秋によせて」はジョニー・ウィアー氏、「Origin」はエフゲニー・プルシェンコ氏へのオマージュ作品となっている。敬意を込めるフィギュアスケート界の先人のためにも、完璧に舞う必要がある。2人とは今オフのアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」で共演。あらためて刺激を受けた。「おふたりにいいものを見せてあげたい」。それは心からの思いだ。
GP出陣へのリハーサルも終えた。9月の今季初戦オータムクラシック。SPでは冒頭の4回転サルコーで転倒。後半にしっかり立て直したが、昨季の世界選手権の失敗を引きずっていた。そしてフリーでは3つの4回転ジャンプで回転不足のジャッジ。それでも、課題が噴出したことは、その分の伸びしろを意味する。
「やっぱスケートって奥深いな」
当たり前のことを再認識し、準備を進めてきた。
GP初戦としてエントリーしたのはスケートカナダ。輝かしい成績を残してきた羽生だが、同大会は2013、2015、2016年と過去3度の出場でいずれも2位。「そろそろ、スケートカナダでいい出来がしたい」と苦笑いで語ったが、確かな意気込みを見せる。