打撃部門では、王貞治がスペシャルだ。1シーズンの最多本塁打記録55本は更新されたが、「通算868本塁打」は2位の野村克也の657本に200本以上の大差をつける“ぶっちぎり”の歴代1位であり、永久不滅だと断言できる。シーズン40本を20年以上も打ち続けなければ達成できない記録なのだから当然だ。同じく王が持つ「通算2170打点」もシーズン100打点を20年以上続けなければならず、こちらの記録の更新もかなり難しいだろう。

 そして、最も更新が困難であるのが、阪急の福本豊が持つ「通算1065盗塁」である。歴代2位の広瀬叔功(596盗塁)を“ダブルスコア”に近い数で引き離す大記録。1972年に記録した「シーズン106盗塁」も驚異的だが、年間50盗塁を20年続けてようやく到達できる1000盗塁という数字は、まさにアンタッチャブルだ。

 これら以外にも、イチローがオリックス時代に記録した「69試合連続出塁」、「216打席連続無三振」も更新が非常に困難。今後、イチローに匹敵するような天才打者が現れ、その選手が引退するまで日本球界でプレーを続ければ、あるいは新たな記録が打ち出されるかも知れない。再び“天才”が出現する可能性はある。だが、活躍する舞台が日本になければ記録は更新されない。まずは日本球界全体の底上げ、さらなる魅力アップに努めなければならない。

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