

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「インフルエンザの備え」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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9月に入った矢先、「例年より早いインフルエンザによる学級閉鎖・学年閉鎖」のニュースが東京や京都、静岡から飛び込んできました。「秋が来たと思ったら、もうインフルエンザなの?」とびっくりされた方も多いのではないでしょうか。
実は、沖縄では今年の8月、インフルエンザ注意報が発令されました。夏季のインフルエンザ注意報の発令は2年ぶりのことであり、8月19日から25日までの定点報告数(全国約5,000の医療機関で1週間に受診した1医療機関当たりの患者数)は13.21人と流行が続いています。
8月の上旬だったと思います。高校生が39度を超える高熱を訴えて、外来にやってきました。高熱のほか、咳や喉の痛み、関節痛や筋肉痛を訴えていたので、インフルエンザかもしれないと思った私は、沖縄に行ったかどうかを尋ねました。すると、夏休みにボランティアで沖縄に2週間滞在していたと言うではありませんか。インフルエンザの迅速検査を行ったところ、A型のインフルエンザであることが判明。沖縄では夏にインフルエンザが流行していることを伝えると、たいそう驚いた様子でした。
あと1カ月もすると、インフルエンザの予防接種が始まります。そこで今日は、インフルエンザの感染に備えていただけるように、最新のインフルエンザにまつわる調査結果をご紹介したいと思います。
その前に、インフルエンザについておさらいを。インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染して発症します。咽頭痛や鼻汁、咳などの上気道の炎症による症状、38度以上の高熱や頭痛、関節痛や筋肉痛、倦怠(けんたい)感などの全身の症状が特徴です。まれに小児では急性脳症を、高齢者や免疫力の低下している人は肺炎を合併するなど、重症化することもあり注意が必要です。