観客席に居続けるだけでは、決して、見えてこない野球の楽しさです。大リーグの観客席にいる人は、草野球を見てバカにするかもしれません。でも、そんなこと、関係ないのです。

 野球にたったひとつの正解がないように、恋愛にもたったひとつの正解があるわけではないと思っています。

 他人がなんと言おうと、当人たちが満足してれば、それは素敵な野球だし、恋愛なのです。

 もちろん、どんな相手だろうと、恋愛のためには、サバ缶さん自身がおしゃれに気を配り、メイクや髪形をちゃんと意識することはとても大切です。健康的なスタイルの維持も欠かせません。

「会話、おしゃれ、思いやりなど、世の中で言われる一通りの努力」をしたとサバ缶さんは書きますが、女性としてはもちろん、人間的魅力を維持するためにも、努力し続ける必要があります。

 その上で、恋愛相手の探し方をひと工夫するのです。

 サバ缶さんと同じように淋しさを感じている男性、恋愛に奥手だと感じる男性、孤独に苦しんでいると見える男性に目を向けてみるのです。

 レストランや居酒屋での出会いや見方も違ってくるでしょうし、ネットでのペア探しの基準や水準も変わるでしょう。

 まず、いろんな人と出会える機会、趣味のサークルやお出かけを増やすことが、とても大切だと思います。

 サバ缶さん。どうですか? これが僕のアドバイスです。淋しさにさまよう男性はたくさんいます。孤独に悲鳴を上げている男性もたくさんいます。恋愛に焦がれて、でも諦めている男性もたくさんいます。そのなかに、気の合う男性を見つけることができるんじゃないかと、僕は思っています。

 そんな一人と、サバ缶さんが出会えることを心から祈ります。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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