「本人も『まだ上手くなりたい』ってよくコメントしてますけど、そういう探求心がずっとあるっていうことですよね。小さい体でデカい奴に負けたくないという気持ちもあるでしょうし、研究熱心でいろんなことを試すしね。今の若い子とは全然違いますよね」

 その探求心、向上心の強さには、誰もがうなずく。2015年には石川とともに最優秀バッテリー賞を受賞した中村も「常に前向きにトライしてるっていうのはすごい感じますね。試合(登板)の次の日だったりとか、一番早く来て練習してますし、後輩にも『フォークとかどうやって握ってるの?』って聞いたりしてるのを見ると、もっと上手くなろうとしているのを感じます。ピッチングに関してもそうで、プレートの(踏む)位置を変えたりとか(走者がいなくても)クイックしたりとか、なんとかして(打者の)タイミングを外そうとしているのは感じますね」と、10歳上の大ベテランの姿勢に舌を巻く。

「(去年の)12月にね、朝の6時半ぐらいに少年野球に行く息子を車に乗せてったことがあるんですよ。(運転しながら)『なんか見たことあるヤツがいるなぁ』と思ったら、石川が走ってたんですよ、朝の6時半から。若い子がそこまでやってるかっていったら、やってないですよね」

 そんなエピソードを教えてくれたのは、前出の宮本ヘッド。あくなき探求心、向上心のみならず、ひたむきな努力が石川のキャリアを支えている。彼は青学大4年の時に左ヒジを痛め、秋のリーグ戦で登板のないまま2001年のドラフト自由獲得枠でヤクルトに入団したのだが、プロ入り後は肩やヒジの故障とはほとんど縁がない。不振に陥ってリリーフへの配置転換や二軍降格を味わった2007年を除き、毎年20先発&100投球回をクリアしており、今季もここまで18試合に先発して投球イニングは99回2/3と、達成はほぼ確実と言っていい。

「やっぱりケガをしないということですよね。そのためには、グラウンド以外の見えないところでも常に(エアロ)バイクをこいでいたり、脚の状態が良い時は朝早く来てジョギングをしたり、自分の体と相談しながらケアを怠らない。もちろん持って生まれた体の強さっていうのもあると思うんですけど、そのへんが長くできてる秘訣だと思います。無事是名馬ですよ」

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