“令和のサブマリン”プロ2年目の高橋礼 (c)朝日新聞社
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 2位に7ゲームの大差を付けて前半戦を終えた福岡ソフトバンク。投打に主力数名ずつを欠きながら、次々と若手の新戦力が台頭して独走態勢を作った。その中で、MVP級の働きを見せたのが“令和のサブマリン”プロ2年目の高橋礼である。

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 昨年11月の日米野球侍ジャパンにも選出された注目株は今季、開幕から先発ローテ入りを果たして前半戦までに13試合に登板し、リーグトップと1勝差の8勝(2敗、防御率3.11)をマークした。その緩急巧みなピッチングの中で特に威力を発揮しているのが、球速140キロ(最速146キロ)を超えるスピードボール。身長188センチの大きな体を折り曲げ、地面すれすれの位置から放たれるボールの体感速度は、想像以上だ。

 希少価値のあるサブマリン投手だが、近年では渡辺俊介、牧田和久の2人が優れた実績を残した。主に2000年代、ロッテの先発として活躍した渡辺は、特技が「柔軟体操」という体の柔らかさも生かし、地上3センチという低い位置でボールをリリース。ツーシーム系のボールを中心に打者のタイミングを巧みにずらした。2006年、2009年のWBC連覇にも貢献したが、球速は速くても120キロ台(最速132キロ)だった。

 2010年の西武ドラフト2位の牧田は、渡辺よりも速球派だ。早いテンポで投球し、投球フォームでも微妙にタイミングをずらし、数種類のストレートを操った。スピードガン以上に速く見えるというボールで空振りを奪って「見た目以上に速い」と評価された牧田だが、それでも平均球速は120キロ台後半、最速は137キロ止まりだった。

 高橋よりも速かったサブマリンはいたのだろうか。過去を振り返ると、やはりこの男、通算284勝を挙げた山田久志の名前が挙がる。1970年代から80年代に阪急のエースとして3度の最多勝に2度の最優秀防御率、4度の最高勝率のタイトルを獲得し、プロ野球記録となる12年連続の開幕投手も務めた名投手だ。

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スピードのあった過去の下手投げ選手