人を構成するアミノ酸は20種類だけなので、あえて嫌いなもので食べさせなくても、とにかく必要なたんぱく質を体内に入れてしまえばいいわけです。それにうちでは、栄養素をパワーアップさせるために、プロテインやビタミン、ミネラルが入ったものを「魔法のおいしい粉」として少々加えています。
牛乳は味が濃いので、少しくらい何か混ぜても平気というメリットがあります。息子は信じやすいので、「牛乳がおいしくなった!」と言い、入れて入れてと喜んで飲みます。
ただ、今は牛乳も少し見直されているようです。牛乳内のラクトースという成分が消化しにくいとか、カルシウムは鉄分の吸収を阻害してしまうなどの、デメリットもあります。でも、それならばやはり「別の方向から鉄分を与えればいいじゃないか」という話になります。鉄分が入ったウェハースやグミだってありますし、息子は栄養補助食品のクッキーが好きで、たまにおやつとして出したりします。
■こどもの好き嫌いはコロコロ変わる
とにかく見ていて思うのは、子どもの好き嫌いはコロコロ変わる、ということです。前は大好きだった豆腐や卵焼きを、突然「これは嫌い」と言いだしたり、苦手というものでも食べてみたら「やっぱりおいしい」と言いだしたりします。
そういう時期に、意地でも「これを食べなさい」「食べなきゃ遊んじゃいけません」と縛り付けると、食事そのものを嫌いになってしまいます。思い返せば私だって、大きくならなければピーマンの魅力なんてわかりませんでした。
「今はコロコロ変わる時期なのだ」「まあいいや」という心をもってみると、驚くほどストレスが減ります。糖質、たんぱく質、脂質は、あえて子どもの嫌いなもので食べさせるのではなく、別の方向からとればいいわけです。逆に「これを食べさせなくてはいけない」と考えすぎると、親がストレスでまいってしまい、自分も子どもも、毎日の食事が憂鬱(ゆううつ)になります。
まあ、こういうことも子どもだから許されるわけです。離乳食をつくっているときよく思ったのが、手間ひまかけてつくったご飯を一口食べて、まずそうにガシャンとひっくり返す行為……。
これをもし、彼氏や夫がやったら、確実に別れるであろう案件だということです。つまり、息子も成長するにしたがって、誰かがつくった料理を、(たとえおいしくなくても)「おいしい」と全てたいらげるようになっていくんじゃないかな、と。母親としては、少し寂しいような、さっさとそうなってほしいような、複雑な気持ちですね。