アイルランドは昨年の6カ国対抗で優勝(今年は3位)するなど欧州の強豪。2016年には、今大会の優勝候補筆頭で3連覇を狙うニュージーランドから初勝利を挙げている。そんな1次リーグ最大の難敵と、負傷や心身の疲労が積み重なる前の2戦目で対戦できることは大きい。

 ここで前回大会の南アフリカ戦のように格上を倒すことができれば、初の決勝トーナメントに大きく近づくが、負けても決して悲観する必要はない。

 3戦目のサモアは前述の通り、過去のワールドカップで何度も番狂わせを演じた強豪チーム。日本も1999年大会では1次リーグ初戦で9―43で完敗した。しかし、近年は選手の国外流出や協会の脆弱な財政基盤などから代表チームの競技力は低下。4年前のワールドカップでは日本が26-5で快勝している。今大会もオセアニア地区予選を突破できず、プレーオフから敗者復活最終予選を経て、ようやく出場権を獲得した。個々の選手のスピードや破壊力は相変わらず脅威だが、フィジーに快勝した日本なら、チーム力で十分上回れるはずだ。

 ロシアとサモア相手に確実にボーナス点も奪って勝利すれば、仮にアイルランドに敗れたとしても1次リーグ最後のスコットランド戦まで決勝トーナメント進出の夢はつながる。日本とスコットランドの決戦は、1次リーグ最終日の最終戦。ラグビーファンだけでなく国民の関心をこの時まで惹き付け続けることは、開催国の代表チームとしての大きな責任だろう。

 4年前の大会では、日本は南アフリカ戦から中3日でスコットランドと対戦している。疲弊した選手たちが回復するにはあまりに時間が短く、この試合が大会初戦と調整十分の相手に後半突き放された。しかし、今回は日本がサモア戦から中7日と十分休養が取れる一方、スコットランドはロシア戦から中3日と立場は逆転する。また、会場の横浜国際競技場は収容人数7万2327人と、全12会場で最も大きいスタジアム。入場券完売は確実で、満員の観客の大半を占めるだろう日本ファンからの大声援が歴史的勝利に向けて日本代表を大きく後押ししてくれるはずだ。

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日本代表は歴史を作れるか?