浦和の大槻毅監督 (c)朝日新聞社
浦和の大槻毅監督 (c)朝日新聞社

 早いもので、2019シーズンのJリーグも折り返し地点を通過した。前半戦では戦前の下馬評をいい意味で裏切ったチーム、逆に期待外れとなっているチーム、おおむね想定通りに勝ち星を重ねてきたチームもある。そこで今回は、Jリーグをつぶさに「うぉっち」している河治良幸氏がJ1全クラブを中間査定(良い方からA・B・C・D・Eの五段階)し、3日間にわけて紹介する。

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北海道コンサドーレ札幌 C

 18チームの中で最も評価の難しいチームだ。いかなる相手にも主導権を取りに行くミハイロ・ペトロヴィッチ監督のスタイルは対戦相手とのかみ合わせなどで、試合ごとにパフォーマンスの波が激しくなりがちだ。ただ、多くのチャンスを生かせず0-0で引き分けたガンバ大阪戦など、内容的に相手を上回りながら勝ちきれなかった試合もある。そうした勝機をものにできていれば、同じチーム状態でも、もう数ポイントは上乗せできただろう。短期的な結果に左右されず継続的にスタイルを構築しているプラス要素はある。新加入の選手が徐々に連携を高めてきていることで、もともと個人能力で存在感を出していたアンデルソン・ロペスやルーカス・フェルナンデスもコンビネーションを高めており、全体的に疲労が出てくる後半戦で強みになってくるかもしれない。

■ベガルタ仙台 D

 もともとの戦力的な基盤を考えれば、まず降格圏より上の順位で後半戦に入れたことで良しとする見方もできるが、リーグで3番目に多い30失点はもっと減らすことができたはずだ。また、ここまで22得点しているものの、半分近い7試合が無得点という問題もある。そうした影響もあり、広島を相手に劇的な勝利を演じたかと思えば、直後の試合で下位の磐田にコロッと負けてしまうなど、試合ごとにパフォーマンスが安定せず、試合がうまく機能しない時間帯のゲームコントロールも見出せていない。途中4バックに変更してバランスを整えたが、浦和戦、鹿島戦に連敗したことで、渡邉晋監督は再考を迫られるかもしれない。渡邉監督は開幕前にタイトル獲得を目標に掲げていたが、ルヴァン杯のプレーオフで名古屋に競り負けたことは痛かった。現在の順位を考えれば、現実的に前回の決勝で浦和に敗れた天皇杯でのリベンジが後半戦の大目標になるが、1つでも上の順位を狙っていくには、おそらくリーグ最多のクロスからの失点パターンを減らすこと、新守護神として期待されるポーランド人GKヤクブ・スウォビィクとの連携を早期に構築し、得点ランキングの上位に一人もいない前線をてこ入れしたい。同じく新外国人のジオゴ・アコスタにも期待がかかる。

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リーグで苦しみ“組長”再登場