野手ではやはり王柏融(日本ハム)に期待したい。4月29日に左太ももの張りを訴えて途中交代となり、約2週間戦列を離れていたこともあって現時点での成績は打率.283、1本塁打、17打点とそれほど目立ったものではない。しかし山本由伸(オリックス)から3打数2安打、石川歩(ロッテ)から5打数2安打、多和田真三郎(西武)から2打数2安打と各チームのエース級からしっかり結果を残しているのは実力の高さの表れである。また、打球方向もきれいに三方向に打ち分けており、自分のスタイルをしっかり貫いていることも好印象だ。日本の投手に慣れてくれば、これから大きく成績を伸ばすことも十分に考えられるだろう。

 全体的には野手で大爆発している選手がいない分、比較的地味な印象を受けるが、まだまだシーズンは始まったばかりである。ここで取り上げた以外の選手からも、ここから大きくブレイクする選手が登場することを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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