こうしたことを考慮すれば、やはり20代のうち、少なくとも30代前半までにどれだけ貯金を作れるかが、通算成績を伸ばすカギとなるのは間違いない。後は史上例のない二刀流としての実績を、殿堂入りを決める投票権を持つ全米野球記者協会のメンバーがどう評価するかにかかっている。もしかしたら投手として150勝、打者として1500安打でも殿堂入りに十分と判断されるかもしれない。ハードルがここまで下がれば、年間12勝ペースで13年、120安打で同じく13年で到達できる。つまり打者としては今季を含めた2年の貯金があるとみなせば残り11年、投手としても2020年からの13年、大谷が38歳となる2032年にはクリアとなる。

 体への負担の大きい二刀流を38歳まで続けられるのか、大きな故障による長期離脱は避けられるのかなど、大谷が殿堂入りを果たすためのハードルは現実問題として多く、そして高い。だが彼には「大谷ならば……」と思わせるだけのポテンシャルがあるのもまた確かだ。先の長い話で鬼には爆笑されそうだが、10年後あたりには大谷の殿堂入りの可否が大きな話題となっていることを願ってやまない。(文・杉山貴宏)

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