しかし、こちらから近づいてはいなくても、イヌにかまれてしまった、コウモリに襲われてしまった、なんてケースが起きてしまうことも十分考えられますよね。
渡航前にワクチンを接種していても、接種していなくても、渡航先で動物にかまれたり、引っかかれたり、なめられてしまったりぶつかった場合には、とにもかくにも、できるだけ早急に、大量の水で傷口を徹底的に洗うことが大切です。その上でワクチン接種が必要となりますので、すぐに病院を受診してください。
予防接種を受けていなかった場合、初回接種日を0日として、3日、7日、14日、30日、90日の計6回のワクチン接種による発症を予防することができると言われています。予防接種を受けていた場合も、接種初日と3日後の2回のワクチン接種が必要です。
発症すれば、ほぼ100%死亡する狂犬病。海外旅行へ行くことが決まった、行こうと思っているという方は、余裕を持って狂犬病ワクチンを接種していただきたいと思います。
○山本佳奈(やまもと・かな) 1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー、CLIMアドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

