その久保とともに南米選手権行きが確実視される安部裕葵(鹿島)も、欧州クラブが注目するタレントである。99年1月生まれの彼は久保より3学年上の20歳だが、2018年Jリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞し、今季から常勝軍団でエースナンバー10をつける逸材だ。中学時代を本田がクラブ経営に関わっているS.T.フットボールクラブ(東京・清瀬市)で過ごし、全国的にそこまで知名度の高くなかった広島県瀬戸内高校に進学。鹿島のスカウトに見初められ、順調にステップアップしてきた。171cmと小柄だが高度な技術と戦術眼を併せ持ち、ジャニーズ顔負けのイケメンとあって注目度は高まる一方だ。
「僕が中2から中3に上がる時に本田さんがプロデュースするソルティーロ(・ファミリア・サッカースクール)が清瀬のクラブを買い取って、クラブ名が『S.T.F.C』に変わり、本田さんも練習に来てくれました。日本で物凄く成功している選手が身近にいたことは励みになりました」と語る本人も本田同様に海外志向が高い。鹿島で小笠原満男(現アカデミーアドバイザー)や内田篤人らから帝王学を学んだことも大きな強みだ。今回の南米選手権参戦を機に、A代表定着、海外移籍、日本代表スターへの飛躍という道が開ける可能性は少なくない。
彼ら2020年東京五輪世代の中で、トップを走る堂安律(フローニンゲン)と冨安健洋(シントトロイデン)も年下の追い上げに負けてはいられない。ご存知の通り、2人はすでに森保ジャパンの主力に定着し、今年1~2月の2019年アジアカップ(UAE)にも参戦。ここから2022年カタールワールドカップまで突っ走るつもりだろう。
とりわけ、冨安の成長ぶりは目覚ましい。20歳になったばかりのアジアカップで見せた安定感は、長年代表守備陣を担ってきた吉田麻也(サウサンプトン)や槙野智章(浦和)をしのぐものがあった。長友佑都(ガラタサライ)も「ホントにすごい。規格外ですよ」と絶賛。その後、戻ったシントトロイデンでもマーク・ブレイズ監督が「スタメンを選ぶ時、真っ先に書くのが冨安」とコメントしたほどの信頼を勝ち得ている。ベルギーという欧州各国のスカウトが集まりやすい環境にいれば、当然注目度は上がる。現時点での評価額は12~13億円とも報じられていて、欧州ビッグクラブへの移籍もあり得る状況だ。が、一方で「新天地へ赴いて試合に出られなくなると1年後の東京五輪に影響が出かねない」という関係者の声もあるようで、もしかするともう1シーズンは同じ環境でプレーし続けることになるかもしれない。