それだけに、亭主関白を気取って相手を束縛する様子もなく、北川は結婚後ものびのびと女優業を楽しんでいるように見える。彼が女性層から支持されるゆえんでもあるだろう。

 そんな弟について、姉は10年前の時点でこう分析していた。

「どっちかというと、アーティストではなくエンターテイナーだと思ってたから、本当今ぴったりの位置におさまったと思う」

 たしかに、人を楽しませる彼の才能はかなりのものだ。

 で、気になるのは今後の「位置」である。要するに、これだけの存在を政界が放っておくだろうか、ということだ。祖父が君臨した島根の選挙区は異母弟の竹下亘が受け継いだが、すでに72歳。今年1月には食道ガンであることを公表し、健康状態が不安視されている。

 一方、DAIGOこと内藤大湖は島根県PR大使を務め、応援ソングも手がけている。彼のトークショーに亘が飛び入り参加して、政策を語ったこともあった。4年前に、後継者になるのではという報道がされたときには、亘の事務所が「関知しておりません」と回答していたが、ありえない話ではないのだ。

 ここまで述べてきたような、抜群のバランス感覚と愛され力を活かすことができれば、同世代の小泉進次郎をおびやかすような政治家になることも十分に可能だろう。

 ちなみに、今回の改元で再注目された「平成」の色紙(小渕恵三が掲げたもの)はしばらくのあいだ、竹下家が所有していた。ブレイク直後のDAIGOが『うたばん』の鑑定企画に持ち込んで話題になり、これを機に国立公文書館に寄贈されている。

 はたして、次の改元のとき、彼は何をしているのだろう。なお、彼の座右の銘は祖父と同じ「我が道を行く」だ。まさか、政界に転じて「NSD(内閣総理大臣)」になっていたりして、と妄想してみるのもちょっと楽しい。(宝泉薫

■宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など。

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1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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