このような理由から、ヨーグルトは健康食品として牛乳と同じくらい家庭に根づいていきました。最近では機能性に特化したヨーグルトや濃厚さが特徴のギリシャヨーグルトなど、ラインアップも豊富になっています。目的や好みに応じて選択の幅が広がったことで消費も増加しているのでしょう。
中高年層で消費が増加しているヨーグルト。乳製品摂取によるアルツハイマー型認知症発症リスク低減効果が、疫学調査で明らかになっています。乳製品を摂取してさえいれば認知症を必ず予防できるわけではありません。ただ、高齢者の方が乳製品、特にヨーグルトを定期的に摂取することは栄養素の観点からみて、とてもいいことだと中島教授は言います。
「現在、高齢者の痩せや筋力低下が問題になっています。ヨーグルトは良質なたんぱく質が取れますし、食べ過ぎなければ適度な脂質を取ることも可能です。何よりも、ヨーグルトは、料理の手間もなく、食欲がないときでもさらっと食べられる手軽さも魅力でしょう」(同)
日本で販売されているヨーグルトは、同じ菌が入っているわけではありません。各社さまざまな工夫を凝らしており、入っている菌もひとつひとつ違います。どの菌が自分に合っているかは、ひとつひとつ一定の期間続けてみなければわかりません。
「各社のヨーグルトの特性を考慮しながら、継続的に適度な量を摂取すれば健康効果はある程度期待できるでしょう。ヨーグルトは栄養素の点で、食物繊維とビタミンCがないことが欠点です。フルーツやシリアルと食べると、より栄養のバランスがとれます」(同)
(文・濱田ももこ)
○中島 肇(なかじま・はじめ)
北海道大学農学部卒。現在は和洋女子大学大学院総合生活研究科長、家政学部健康栄養学科で教授を務める。日本酪農科学会の副会長としても活動する。