うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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前回、子どもではなく「親の役に立つ絵本」として、10分以内に寝かしつけられる本を紹介しました。今回は、「してはいけないことを、やらないようにさせられる」便利な本を紹介したいと思います。
子どもに、「そういうことをしちゃダメ!」と注意しても、なかなか言うことを聞いてくれないときってありますよね? 突然意地を張りだしてふてくされたり、ちょっとふざけて親の反応を楽しんでいたり……そんな場面でおすすめしたいのが、『いちにちじごく』です。表紙は、小さな男の子が鬼の格好をして立っているだけで、いまいち恐ろしい雰囲気はありません。
■表紙の鬼の子が可愛いのは……トラップ
「こんなんじゃ、鬼が怖いというイメージが崩れてしまうんじゃないか?」と心配する方もいるでしょう。しかし大丈夫、この本の中には大人でも「うわぁ……」と思ってしまうほどの迫力で地獄の様子が描かれています。子どもが見たら泣き叫んで「この本、捨てて!」と言いだすレベル。表紙の鬼の子が可愛いのは、「怖くないから読んでみよう」と思わせるためのトラップなのです。
大人は子どもに対して何度も「嘘をついてはダメ」「弱い子にひどいことをしてはダメ」といった、世の中の基本的なルールを言い聞かせます。しかし、その理由を長時間ジックリ説明したとしても、心から理解してもらえないことが多いでしょう。
ある日、私の息子が、デパートの遊び場パークにいた見知らぬおじさんに、「なんで髪の毛が少ないの?」と言ってしまい、その場の空気を凍らせたことがあります。
しかし、その場で私が「そんなことを言っちゃダメでしょ!」と言いだすのも重ねて失礼な気がして、こっそり息子を連れだしてから叱りました。「人の外見のことは絶対に口にしてはいけない。気にしている人もいるんだから!」と。