■52歳で観劇に誘われて「困っちゃう!」

「他の地区の教室から手伝いに来ている人だから、もう会うこともないだろうと思っていたんですよ。そしたら、思いがけずメールが届いて、『お芝居を見に行きませんか』と。『○○劇場に近く、時間が自由になる方で、6時の開演に間に合う方に声をかけました 。チケットが余っているからよかったらどうですか』とごていねいに説明してありました(笑)」

 エミさんの頭には、山本リンダの『こまっちゃうナ』の曲が流れていたという。エミさんは52歳。この年齢で男性に誘われるとは毛頭思っていなかった。

 この誘いにエミさんは……。

「行きましたよ! 劇団☆新感線のお芝居でしたが、すごく面白かったし。彼は私の年齢は知らないはず。たまたまメールをくれただけなら、万が一恋愛に発展しないよう、教室の仲間という関係を保って、終始さばさばした雰囲気で過ごしました」

 チケット代の代わりに帰りに食事をごちそうした。

「お芝居を見て、食事をして、他愛のない話をして。このくらいの関係で十分かなって思いました」

 明るい性格のエミさんも、過去にはつらい恋愛も経験している。

「20代の終わりの話ですが、すごく好きな人がいました。デートも2回したけれど、彼、すぐに同業者のイラストレーターと結婚しちゃって。要は二股をかけられていたんです。何であんなに好きだったのか思い出されないくらい。それと親が離婚したので、夫婦仲がいいというのがいまいちわからない。私が大人になってからの離婚ですが、安らかな家ではなかったから……」

 20代後半の悲しい恋愛、両親の離婚。30代、40代は浮いた話もなく、まじめに仕事を頑張ってきたエミさん。『Can Cam』や『JJ』ファッションではなくて、コムデギャルソン系でとんがっていた。女性として見て欲しいのでなく、仕事で評価して欲しい、というタイプ。結婚願望もなかった。

「結婚願望もなく、仕事で評価されたい私が、52歳で14歳も年下の男性から誘われたんですよ。晴天の霹靂です。ところで、彼から誘われる1週間前にちょっと不思議なことがありまして……。スピリチュアル系の友人から『恋人が欲しいなら、恋人ができたという気持ちになって、天に向かって“素晴らしい恋人をありがとう!”と祈ると、神様が“ごめん! 忘れてた!!”とすぐに引き合わせてくれるのよ』と言われたんです」

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この言葉を本気で信じたエミさんは…