さらにいえば、絵もかなり怖いです。ミッフィーちゃんやノンタンのように、子ども向けに描かれた、可愛い動物の絵ではありません。言うならば、「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロルが、絵柄を崩して描いた感じで、なかなかのリアルタッチです。絵の数も少ないです。

「絵本という枠にカテゴライズされない」と書きましたが、こうした意味でもこの本は、絵本らしくありません。高度な子守歌に近いのではないかと思います。

 眠らせるために「こんなアプローチの仕方があるのだな」と感心させられた本でした。

 ただ、前から疑問に思っていたのですが……皆さんは絵本を読み聞かせて眠らせようとするとき、部屋の明かりはどうしているのでしょうか? 私は、部屋を薄暗くして読んでいましたが、文字が見えにくくて疲れるため、いつも、「目が疲れる……」と悩んでいました。友人で「明かりをつけたまま読んでいる」と言っている人も数人いましたが、うちの子は、明るいとなかなか眠るモードになってくれません。

 かといって携帯の光で絵本を照らしても、ブルーライトで頭が覚醒してしまうといいますし……悩んだ結果、百円均一で買った懐中電灯にガーゼをかぶせて、光を弱くしたものを作ってみました。

 寝る前に絵本を読み聞かせるという行為は、昔から当たり前にあると思っていましたが……本を読むときの環境をどうしているかは、あまり情報共有されていない気がします。絵本の文字って、暗闇で光る塗料で書いてもらえると、かなり便利だと思うのですけれど。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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