私、当時は坪田先生の言っている意味がわからなかったんですよ。友達はみんな応援してくれたし、「坪田先生は、友達に恵まれていないんだなあ」ぐらいにしか思っていなかった(笑)。

 でも、今では坪田先生の言っていたことの意味がよくわかります。一生懸命勉強をしても、第一志望に合格するかどうかはわかりません。でも、坪田先生は入試の前にこうも言いました。

「世の中は、結果からしか判断してくれない。だけど、『死ぬ気』で努力をしたという経験を、君はもう知っている。君自身はわかっているよね。だから、周りの人が何といようと、僕は一生君が死ぬ気で努力をしたということは覚えておいてあげる。そして、その経験を持っていることが一生の宝になる」

 本当にその通りだった。自分なりのヒーローになれる分野を探して、飛び込む行動力。そのために努力をすれば、自分の人生は、自分自身でどこまでも広げていくことができるんです。

──大学に行くと可能性が広がりますよね。

 大学に行かなくても、やりたいことがあればその道に進めばいいし、特別に勉強したい分野があるなら、それを勉強できるところに行けばいいと思います。

 ただ、何もやりたいことがなければ、大学に行くことはひとつ、アリだと思うな。そして、一生懸命頑張らないと入れない大学を目指すのはめちゃくちゃ大きな経験値になるし、可能性が広がる。より良い環境に自分自身を置ける。出会う人も変わります。私自身、慶應大に行って人生が大きく変わりました。

──ただ、最初から「自分は慶應大に行くのは無理」とあきらめている人は多いのではないでしょうか。なぜ、小林さんは慶應大を目指すことができたのでしょうか。

 それには「土」と「タネ」が必要だと思います。「土」は「自分ならできる」と思える自己肯定感。「タネ」はやる気を起こさせてくれる「きっかけ」です。私の場合、土を育ててくれたのが母親で、タネをまいてくれたのが坪田先生でした。

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ビリギャルを生んだ母親の教育