衰退していた臨済宗を江戸中期に立て直した禅僧であるが、布教の際に描いたとされる絵が一万点以上あるとも言われている。大きな達磨図をいくつも残しており、今回出展されている大分・萬壽寺蔵の「達磨図」は2メートル近くの高さを持っている。現在、世界中に広まっている“ZEN”は昭和中期に鈴木大拙氏によって書かれた書物に端を発しているが、白隠和尚が唱える禅が英文に訳された結果である。描かれる“達磨”とは、中国禅宗の開祖である達磨大師であり、座禅により手足が腐ってしまい失った姿が、われわれのよく知る手も足もなく目玉が大きな「だるま」だ。曽我蕭白は白隠和尚に影響を受けたのではないかとも言われている。
一番人気が高いであろう、伊藤若冲のリアルで生命感あふれる動物、特に鳥の絵は、宮内庁三の丸尚蔵館にかなりの数が収蔵されているため、目にした方も多いだろう。ところが、今回の展覧会には海外からの帰国ものや初公開、初発見作品も含まれている。今回の展覧会での見所はひとそれぞれだろうが、私的には伊藤若冲がリアルに描いているはずの絵の中にある、縁起物の“猪目”(ハートの形)が気になって仕方がない。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)