でも、実際に何人かに会ってみましたが、これはと思う人が見つかりませんでした。そしてその頃には、会社を辞めて独立したこともあり、結婚への思いも次第にしぼんでいきました」

 そんなときに、母の死。弟から「このまま1人でどうするんだ!」とガツンと言われてしまう。

「49歳になっていました。私が危ういから、仕事も含めてこの先どうするのか、はっきりして頑張りなさいと、弟は励ましてくれたんだと思います。

 きょうだいはすべて結婚しており、独身は私だけ。母の葬儀で焼香をする際、ほかのきょうだいは夫婦で立つのに、私だけ1人。食事の席に着くときも、『お姉ちゃん、あそこでいい?』と隅っこの半端な席になったり(苦笑)。少しひがみっぽく聞こえるかもしれませんが、それが現実で、社会はやはり夫婦という2人1組で成り立っているんだなって、このときひどく痛感したんです。自分をそういう立場に置いておくのは、自分自身にすごく失礼なことだし、自分を大切にしていないなって」

 橋本さんは50歳を目前にして、やっと本気になり、この後、結婚相談所のお見合い、2度目のネット婚活とエンジンがかかったかのように見えたのだが……。(取材・文/時政美由紀)

時政美由紀(ときまさみゆき)
(株)マッチボックス代表。出版社勤務後、フリー編集者に。暮らし、食、健康などの実用書の企画、編集を多数手がけている