ドアラとじゃれ合う中日・松坂 (c)朝日新聞社
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 この“中座”がどう影響するのか?

 中日・松坂大輔が米国の永住権(グリーンカード)取得の手続きのため、キャンプ地の沖縄・北谷を離れたのは2月4日の練習後。球団から松坂の渡米が発表されたのは、翌5日の練習前のことだった。

「プラスになる話じゃないよね」

 与田剛監督の“冷静な分析”は至極まっとう。調整が遅れそうだという見通しには、こちらもうなずくしかない。

 グリーンカードの取得は、今後の松坂のライフスタイルに関連してくるものだ。家族を含めた将来の生活を左右するものだけに「そういう条件を持った選手。当然理解してあげないといけない。権利を我々が破棄させるわけにはいかない」と与田監督。米国の永住権取得は手続きの時期を指定される。キャンプに参加するため、2月は避けて、早めにしてほしいなどといった個人的な事情はほぼ勘案されない。

 中日では、一昨年にもビシエドが米国市民権取得のため、シーズン中の6月に渡米。そこから約1カ月、4番打者は日本に戻ってこられなかった。ビシエドの場合は、キューバから亡命後、メジャーでプレー。2016年から中日でプレーしている。こうした個人的な事情が絡む事案に関しては「シーズン中だから」「キャンプ中だから」と球団側が渡米を認めないようなことになると、イコール「プライバシーの侵害」とも受け取られる時代でもある。与田監督が使った“理解”という表現には、そうした意味合いも含まれているのだろう。

 松坂のケースは、書類に直筆でサインすれば終わるとも言われている。最短なら1泊3日。それでも片道10時間以上の航路、機内での気圧の影響、時差などを考えれば、強行日程が及ぼす肉体への負担は決して小さくはないだろう。松坂本人から渡米前の説明はなかったため、あくまで推論だが、この“リセット”を見通した上で、キャンプインの2月1日から一時離脱の4日まで一度もブルペンに入らず、本格的な投球練習を回避していた理由があるのかもしれない。

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