そうやって、2か月近くやりとりをした時だった。
「チャットをしていると『Let’s get marry!』とプロポーズをされたのです。その頃、私もジョンにすっかり惚れてしまっていた。会ったことがないのに毎日、会っているように思い、チャットするために早く家に帰るなど、ジョンが生活の中心にありました」(Aさん)
それから、10日ほどたつと、毎日、愛のメッセージを送ってきたジョンからこんな短いメッセージが…。
「そろそろ戦場に向かわねばならない」
そして音信が途絶えた。Aさんは、ジョンの身に何かあればと心配する日々だった。
すると、見知らぬ人からAさんにメッセージが届いた。
イギリスの病院の関係者だという人物だった。
「米軍のジョンが戦場で重傷を負った。あなたに連絡をとってほしいと、言っている」というのだ。Aさんはこう振り返る。
「心臓が止まりそうなほど驚いた」
半日ほどして、ジョンからもメッセージが届いた。
「戦場で負傷した。命は助かった、苦しい、痛い…」というメッセージの後にこんな懇願があった。
「もう軍人としてやっていけない、そのために治療費と除隊するのに、カネが…」
「助けてくれないか」
ジョンは、1万ドルを送金してほしいとAさんに依頼したのだ。
そこへ、先に登場した病院の医師を名乗る人物がFACEBOOKの音声通話機能を通じて、連絡してきた。
「ジョンが大変なので助けてほしいと言っています。至急、お金を振り込んでもらえないか」
Aさんは、指定されたイギリスの銀行口座に1万ドルを送金した。
すると、数日後に再度、医師から連絡があった。ケガの悪化で追加に送金を要求され、1万5千ドルを送った。
「いつも、送金する前に、ケガが治れば結婚できるとメッセージがきて、早く送らなきゃとジョンは死んじゃうと必死でした」
そんなAさんの普段と違った様子を見て会社の同僚の1人が声をかけた。
「どうしたの、おかしいよ」