今オフに阪神が新外国人選手としてジェフリー・マルテ内野手を獲得した際、ファンの間ではある議論が巻き起こった。球団がマルテに背番号31を与えたのが発端だった。阪神の31番といえば、球団史上屈指の強打者である「ミスタータイガース」こと掛布雅之氏がつけていた背番号。それを日本では何の実績もまだない助っ人外国人がつけるのはいかがなものか、というものだ。
この件については阪神の背番号31は永久欠番ではなく、掛布氏引退後も広澤克実、濱中おさむらがつけてきた経緯があることから、なぜ今さら問題視するのかという意見もある。だがこうした騒動が起こること自体が、背番号というものが球団や選手だけでなくファンにとっても単なる数字ではないことがうかがえる。
そしてメジャーリーグファンにとっても気になる背番号問題は存在する。それは「イチローの背番号「51」はマリナーズの永久欠番となるのか?」というものだ。
イチローといえばメジャーでの殿堂入りの目安とされる通算3000安打をクリアする3089安打(2018年終了時点、以下同)を放ち、首位打者2回、盗塁王1回、新人王とリーグMVPをダブル受賞し、10年連続でゴールドグラブ賞を獲得するなどの輝かしい実績を残した。さらにメジャーにおける日本人打者のパイオニアとしての貢献度も計り知れない。過去にマリナーズで永久欠番となったエドガー・マルティネス(生え抜きの名指名打者で通算2247安打)やマリナーズ時代に本塁打王に4回輝いたケン・グリフィー・ジュニアらと比べてもそん色なく、実績的には何の問題もないと言っていいだろう。
話を少しややこしくしているのは、マリナーズの背番号51はビッグユニットの愛称で日本でも知られる名左腕ランディ・ジョンソンがつけていた番号でもあること。ジョンソンはエクスポズ(現ナショナルズ)からトレードでマリナーズへやってきた1989年途中から51番を背負い、大エースへと成長。98年途中までの在籍10シーズンで130勝74敗、防御率3.42。2162奪三振。95年にはサイ・ヤング賞を獲得し、2015年には殿堂入りも果たした。むしろ永久欠番にまだなっていないのが不思議なほどの名投手だ。