東京医科大学の“発覚”に端を発する医学部の不正入試問題は、昭和大や順天堂大などにも広がったものの、気がつけば年も明けて早1月。19、20日には大学入試センター試験が行われ、受験シーズンに突入する。
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一連の不正入試では、女子と多浪生が不利に扱われるケースが多かった。そもそも女子の志願者は、1980年代には2割ぐらいだったものの現在は約4割まで上昇し、女性医師も増加している。ただ、仕事と育児の両立の難しさ、診療科の偏在などの問題もあり、「女子差別」につながっているのが現状だ。
翻って、面接時に女子同様に厳しい質問をされるのが多浪生だ。難関の医学部入試では5浪以上の受験生も珍しくない。なかには「9浪で合格」という受験生もいた。だが、ある医学部予備校の関係者がこう話す。
「女子に厳しい大学よりも、多浪生に厳しい大学の方が多いように感じます」
■素行が悪かった?
一部の地域枠入試や推薦入試のなかには、浪人生は受験できない場合もある。そもそも、多浪生が入試で不利に扱われるのはなぜか。別の医学部予備校の関係者がこう打ち明ける。
「長年の浪人の末にやっと受かったため、入学してつい遊んでしまう学生も少なくないようです。多くの大学では多浪生は留年しやすく、医師国家試験の合格率も低いそうです。ある私立大学に進学した本校の生徒によれば、素行が悪い多浪生がいたため、教授が『もう多浪生はとらない!』と激怒したことがあるそうです」
この予備校関係者によれば、ある私立大学は1年次が全寮制だったが、一緒に生活するうえで多浪生が同級生に悪影響を及ぼしたことがあるため、その後は多浪生をあまりとらなくなったという。また、ある私立大では、「入学した3浪女子が勉強しなかった」という前例があるため、同大の学生によると、2年前から2浪以上の女子はいなくなったそうだ。
■多浪生は敬遠されても、再受験生は好印象?
もちろん、入学後に真面目に勉強する多浪生がほとんどだろう。しかし、長年の受験勉強からの解放感で遊んでしまい、留年したり、放校になったりする多浪生もいる。このため、多浪生にはあえて厳しい質問をして、「入学後に真面目に勉強するかどうか」を見極めているのが現実のようだ。