ちなみにペガサスワールドカップの高額賞金を支えているのは、馬主や関係者の出走登録料。来年はダート・芝ともに50万ドルが必要で、フルゲートはいずれも12枠。つまり合計1200万ドルが出走馬を募るだけで集まる計算となり、主催者側の負担は400万ドルで済むということだ。
こうしたペガサスワールドカップの動きによって、レース単体としての賞金額は再びドバイワールドカップのほうが上になった。ただし、それをもってドバイワールドカップが世界最高額賞金レースに返り咲くわけではない。なぜなら、2019年2月にサウジアラビアのアブドゥルアズィズ競馬場で行われる予定の「キング・アブドゥルアズィズ・ホース・チャンピオンシップ」という複数のレースが行われるイベントのメインレース(ダート2000m)が、賞金総額1700万ドル(約19億円)になるのではと報じられているからだ。
この原稿を書いている2018年12月現在で詳細はまだ不明だが、優勝賞金は1000万ドルを超える可能性もある。レベルの高い出走馬が揃って軌道に乗るようならば、1月のペガサスワールドカップと3月のドバイワールドカップを含めたダートの高額賞金ローテーションが確立されるかもしれない。
このように世界的に見ると、高額賞金レースは日本とは違ってダートレースが多い印象。では芝の最高賞金額レースはというと、オーストラリアのジ・エベレスト(芝1200m)がそれになる。2017年に創設されたばかりのレースで1年目は総賞金1000万豪ドル(約8億円)。2年目は1300万豪ドルに増額され、1着賞金は600万豪ドルとなった。
なおジ・エベレストはペガサスワールドカップと同様に出走枠を馬主が購入する仕組み。フルゲート12枠を60万豪ドルで売ることにより、総賞金1300万豪ドルのうち720万豪ドルを捻出している。ちなみに過去2回はレッドゼルが連覇しているが、日本からオーストラリアに移籍したブレイブスマッシュが第1回で3着と好走して賞金80万豪ドルを手にしている。