新宿三丁目駅に着いた。スタンプ台を探すと、あった!というより、いた! 子どもたちがすでにワラワラいてワアワアしている。まずはスタンプを押そうと推定7歳ぐらいの男の子の後ろに並ぶと、お母さんが私を見て即「ほら、邪魔だからどきなさい!」と子どもを慌てて引っ張る。53歳のおばさんが1人でヌゥ~ッと現われたのである。そりゃ、ビックリして子どもの手も引くもんだ。でも、お母さん、私、これ、仕事なんですよ。体験記事を書くよう頼まれたんですよ、怪しいもんじゃないんです。言いたいことは山ほどあるが、目礼だけしてスタンプを押す。ほぉ~。くっきり押されるもんだ。それに、可愛い。

 で、問題とな? ぜんぜん分からん。すると、子どもが口々に答えを叫ぶ。「〇〇駅だ!」「ピピは〇〇駅にいるよ!」ふむふむ。カンニングで答えを埋めてから、そういう問題だったのか、と初めて知る。問題、よく読んでなかったわ。だって、問題には目を向けたくないのよ。問題から目をそらし、とりあえずその場その場をやり過ごして生きてきたの。

 次はどの駅に行こう? 迷っていると、一人のお母さんが子どもに問いかけていた。「次はどこに行けばいい?」「後楽園!」「そうね、でも、こういうときは一番遠くの駅がいいかもよ。馬喰横山は一番遠いけど、ここから都営新宿線で行けるからね」

 ありがとう、お母さん。私もそうする! 人生迷ったときは助言に従え、だ。都営新宿線の改札にさっそく向かった。そうそう、都営+メトロ1日乗り放題切符900円を購入したから、どう行こうと900円。今日は1日900円三昧だ。

 馬喰横山駅に着いた。意外と近い。今度はカンニングしないでも、ラリー帳にある図とヒントですぐに答えが分かった。それを書き込み、次はどこに行こう?とまた迷う。ラリー帳にある路線図を眺め、(今日は帰りに豊洲に寄りたいんだ。とりあえず巣鴨駅~後楽園駅を攻めて、その後に大門駅、有楽町駅でフィニッシュがいいんじゃないか?)と考えた。すると、子どもを5人も引率して先生然として女性が「まだお腹は大丈夫ですか? それでは大門に向かいます」と言っている。ふ~ん、と聞き流したが、これが大失敗だとこのとき私はまだ知らなかった。

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うなだれて巣鴨駅