そうして最後の駅、後楽園を目指した。よくぞここまで来たものだと、何やら感慨深い。途中、遠回りもしたが、やはり着くのである、ゴールへと。どんな道を通っても、人はみな同じゴールへたどり着く……のか? ここでふと、気づいた。「賞品、他の日にもらったってよくなくないか?」と。しばし固まり、思い直す。いや、賞品をもらってこそ、スタンプラリーは完了だ。

 最後のスタンプを押し、クイズに答え、メトロ・エム後楽園3F丸善で賞品のクリアファイルをいただいた。この時点で歩いた距離は7589歩。地下鉄に乗るだけのはずが、意外と歩いてもいた。足が棒になっていた。帰りに寄り道なんてとんでもない、となった。

 すべてのクイズから答えを導く最終問題が分かった頃、出発した南阿佐ヶ谷駅に帰ってきた。時刻は2時半。5時間かかったことになる。スタンプラリー、やり始めると夢中になる。そして、あれこれ考えさせられる。何やらこれは巡礼のようだ。大人にとってのスタンプラリーって、お遍路さんだと思った。

 そう思いながら悟った目をして、帰りにたこ焼きを食べた。ちなみに経路ですが、自分の最寄駅ごとに正しい順路は違うと思いますので、念のため。

◯和田静香(わだ・しずか)/1965年、千葉県生まれ。音楽評論家/作詞家の湯川れい子のアシスタントを経てフリーの音楽ライターに。趣味の大相撲観戦が高じて最近は相撲についても書く。著書に『スー女のみかた 相撲ってなんて面白い!』『東京ロック・バー物語』など。