

日曜日の朝9時半、地下鉄・丸ノ内線に座りながら私はニヤリとした。
53歳、独身、趣味・相撲観戦の女がひとり、よもや今からスタンプラリーに行くとは誰も思いやしまい。いや、53歳は見た目で分かるとして、独身、趣味・相撲観戦に関しても誰も思いやしまい、なのだが。とにもかくにも、私はスタンプラリーに行くのだ。
スタンプラリー? ほら、あれよ、子どもがノートみたいのに駅にあるスタンプを押しては、嬉しそう~にぐるぐる巡るやつ。あれ、あれをやるのだ、53歳、独身、趣味・相撲観戦の私が! どうだ、誰も思いやしないだろう?
不敵な笑みを浮かべながら、駅でピックアップしたばかりの「『科学漫画サバイバル』シリーズ 都営交通×東京メトロ サバイバル 推理&スタンプラリー」(2018年12月1日~2019年1月14日)のページをめくり、参加方法を読んだ。
1.駅に向かい、スタンプ台を探そう!~指定された6つの駅でピピの居場所の手掛かりをみつけよう。まわる順番は自由だ。駅についたら、スタンプ台を探してね。
2.スタンプ台で手がかりを手に入れよう!~問題を解こう、ピピを探そう、スタンプを集めよう。全駅でこれを繰り返して、ピピの居場所の手がかりをすべて集めてね。
3.いよいよ最終問題!
4.プレゼントに応募しよう!
なんだか頭にぜんぜん入ってこない。説明書は苦手だ。そっとスタンプラリー帳(以下ラリー帳)を閉じて目も閉じる。スタンプ台が設置してある6駅のうち、まずは新宿三丁目駅へ向かおう。それだけだ。後は出たとこ勝負。説明や計画は私にはいらない。人生ずっと、そうやって来た。行き当たりばったり。それがいいのか悪いのか? んなこたぁ、知らん。
さて、「科学漫画サバイバル」シリーズは私も初めて知ったが、韓国発の学習漫画で、世界中で3000万部を誇る「ハラハラ・ドキドキ夢中で漫画を楽しんで、しかも科学や理科の勉強になる」大ベストセラーなんだという。日本では2008年から朝日新聞出版から刊行されている。子どもの世界は、子どものいない私には知らないことだらけだ。