「私たち、結婚しました!」――続けて届いた2通の結婚報告はがき。お葬式に参列することのほうが増えていたというのに、まさか同年代である50代の友人から結婚話を聞かされるとは。もしかして、と調べたところ、ここ20数年で50歳前後の結婚増加が判明。総数から見れば少ないものの、“50歳からの結婚”が増えていることは間違いないようだ。連載「50歳から結婚してみませんか?」では、結婚という大きな決断を50歳で下すことになった女性の本音とリアルに迫る。第17回は、遊び仲間から長い年月を経て結婚に至った藤本三恵さん(仮名・58歳)、康弘さん(仮名・71歳)夫婦の前編をお届けする。
* * *
小柄でキリっとした美人の藤本三恵さんと、俳優の柄本明似の康弘さんは、お似合いの熟年夫婦といった貫禄。おつき合いは10年以上と聞いていた。
「今年(2018年)の8月に入籍したんです。私の誕生日に。朝市役所に行って、届けを出して、そのまま2人とも仕事に行きました。春にマチュピチュツアーを予約していたので、結果的にそれが新婚旅行になりました(笑)」と三恵さん。
1週間前に旅から帰国、現地で買ったという暖かそうなアルパカのマフラーが素敵だ。アウトドアファッションに身を包む三恵さんは、康弘さんとともに自転車、テニス、スキー、登山、キャンプ、カヌーと、アウトドア全般が趣味。休日になると2人で、トレーラーを引っ張って、どこへでも出かけていく。
「自転車は私、カヌーは主人がやろうって言って。気がつけば、いろいろやってますね」
活発で多趣味の2人だが、出会いはやはりアウトドアがきっかけだったのだろうか。
■意外な人物が2人の関係を親密にしていった
2人のつき合いは、かれこれ27~28年前にさかのぼる。その頃は、お互い家族ぐるみでキャンプをする遊び仲間だった。5組ほどの家族がときどき集まる。そんな「隣の家族のご主人」と「奥さん」の関係だったのだ。
「娘が10歳のとき、離婚したんです。それで、そのお仲間とは一緒に遊びに行くこともなくなってしまいました。同時に彼とのつき合いもなくなってしまうはずだったんですが」