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「外国人労働者受け入れ拡大法案(出入国管理法改正案)」が衆議院を通過し、参議院での審査が始まった。経団連など財界の強い要請に対して、安倍政権は何が何でも今国会でこれを通して、来年4月施行を実現しようとしている。今年の通常国会(2018年1~7月)では、厚生労働省のデータ捏造事件が原因で、裁量労働制拡大の法改正に失敗したこともあり、今回の出入国管理法(入管法)改正案は絶対に落とせない法案だ。
もちろん、それは、来年の統一地方選や夏の参議院選に向けた財界のカネと票を得るための事実上の買収策である。だから、4月1日施行は至上命令。審議時間がどんなに短くても、基礎データの捏造が露呈しても、世論が拙速な施行に大反対しても、とにかくこの臨時国会で通さなければならない。
日本では、経団連の言いなりになってきた自民党の政策のおかげで、企業の生産性の向上が妨げられ、「人手不足」という声が出るたびに、できの悪い経営者の延命のための労働条件切り下げを促進してきた。
■経団連企業の大半はブラックだ
今回も、他の先進国などに比べて格段に低い労働条件を維持したまま、経営を続けたいという企業経営者の声に応えて次の一手を繰り出すわけだ。今や、お隣の韓国に比べても、日本は魅力を失い、高度専門職だけでなく、単純労働者からも、低賃金ブラックの国というレッテルを貼られている。
賃金が安い、残業時間が長い、残業賃金の割増率が低い、休みが取れない、仕事の内容がきついというような職場に人が集まらないのは当たり前だ。それを安倍政権は「人手不足」と呼ぶが、実態は、先進国らしいまともな労働条件を提示できない低生産性の企業・産業がいつまでも生きながらえているからこそ、こういう問題が出てくるのだということを、そろそろちゃんと認識すべき時なのではないか。
外国人労働者の人権の問題が議論されているが、そもそも、日本の労働者の人権すら守られていない。いまだにサービス残業という言葉が存在し、休みを取りたくても取れないのが当たり前という状況を放置している国に、外国人労働者を迎える資格があるのかと問いたくなる。