大宮エリーさん(左)と隈研吾さん(撮影/篠塚ようこ)
大宮エリーさん(左)と隈研吾さん(撮影/篠塚ようこ)

隈:そう。モダンのメカっぽさを追求してた丹下さん、黒川さんも嫌だし、かといって、日本の古い、日本の集落はいいとか言ってるジジ臭いのも嫌だったし、もう何していいか分からなくなってたんだけど、アフリカ行ったら、そのどっちでもない、集落なのにジジ臭くないのがあったから、これは面白いと思った。

大宮:日本の集落とアフリカの集落、どう違うんですか。

隈:距離感が、声が聞こえて近い。で、一個の単位がちっちゃい。

大宮:ああ! それ、隈さんが今作られているものに共通してますね。

隈:そうそう。単位がちいちゃいの。

大宮:一つの空間にいても、なんとなく、なんか大きな長屋という感じ。

隈:そうです、そうです。

大宮:これからはどんなことを?

隈:地方が自分にとっての居場所だなと思って。で、サテライトの事務所を地方にいくつか作って、うろうろと歩き回っていたいなと。

大宮:今、東大の先生もされてる?

隈:特別教授をしてます。

大宮:どうですか、東大生。

隈:僕が「ブイブイしちゃ駄目だぞ」っていうのを教育してるから、建築以外でベンチャーみたいな変わったことをやるやつが出てますね。建築学科なのに、「WOTA(ウオータ)」っていって、排水を浄化して飲料水にするとか。

大宮:何が大事だと教えてますか。

隈:みんな、建築家って神様的だと誤解してるわけよ。建築家って、相手の気持ちになって寄り添わないと。ブイブイしてるやつなんか仕事させてくれないよって教えてます。

大宮:(笑)。

(構成/編集部・井上有紀子)

AERA 2023年2月13日号