作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。10人目のゲスト・隈研吾さんは学生時代にアフリカで見た集落に影響を受けたそうで……。
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大宮:なぜ東大に?
隈:建築をやりたくて。東大の建築は丹下(健三)さんが先生をしてて、磯崎新さんを出してるし、黒川(紀章)さんも大学は京都(大学)だけど、大学院は東大に来てて。
大宮:入学して2年間は一般教養じゃないですか。建築の勉強をしたいのに、大丈夫でした?
隈:(3年次からの進学先を決める)進学振り分けがあるじゃん。建築学科はね、非常に点数が高かったの。
大宮:人気ですものね。
隈:1970年の大阪万博の余波があって。僕は73年入学で、平均得点が今までで一番高かったの。高い点数を取らないといけないから、真剣におびえてた。
大宮:隈さんが?(笑)
隈:大学1年のとき、一生で一番勉強してた。ちゃんと授業にも出てさ。それでなんとか建築学科に行けた。
大宮:よかった! それで?
隈:世界の辺境の集落を研究する、原広司先生の研究室に入ったの。
大宮:また変わったところに。
隈:原先生はインドに行ったりしてたんだけど、アフリカには行ってなかったわけ。「先生、アフリカ行きましょうよ」って、調査に行くことに。
大宮:ほう!
隈:それで、アフリカで、サハラ砂漠を、アルジェリアから入って、ガーッと縦断して、最後コートジボワールで抜けていくんだけど、楽しかった。夢みたいで。
大宮:調査はどうだったんです?
隈:やっぱりね、アフリカの集落って、めちゃめちゃ寂しくないわけ。
大宮:というと?
隈:小屋がいくつも集まってるわけ。基本的に大家族で、奥さんの数だけ小屋があるみたいな。それぞれの小屋の前にかまどがあって、真ん中に広場がある。夕方になると、みんなかまどで料理して。その光景がピースフルな感じで楽しそうなわけよ。
大宮:わあ、長屋的な!