土地取引や公文書改ざんについて調べていた大阪地検特捜部は18年5月31日、捜査対象の38人全員を不起訴にし、捜査で何を解明したかを詳しく明かさなかった。財務省は6月4日、改ざんは佐川氏が主導したと認定し、動機を「国会審議の紛糾を避けるため」とする省内調査の結果を発表した。
森友学園との土地取引の問題は、貸し付けや売却価格が妥当だったのかが本質だ。問題発覚後、様々な異例な手続きが明らかになり、会計検査院が「根拠が確認できない」と結論づけても、政府は「妥当だ」だと言い続けてきた。その説明に納得できず、取材班は関係者取材や資料の収集を続けてきた。
「改ざん」の情報は、そうした地道な取材の中でつかんだものだ。「どこかからのリークを文字にしただけ」という臆測を語る人もいたが、実際は違う。
疑問は残されている。土地取引は本当に妥当と言えるのか。そして、妥当だったのならなぜ文書を改ざんしなければならなかったのか。佐川氏が省内調査で何を語ったのかも明らかにされていない。
改ざんの発覚を受け、会計検査院は一連の土地取引について再検査を進めている。国会では野党が追及の姿勢を変えていない。そして取材班は今も真相解明の努力を続けている。(朝日新聞大阪社会部次長・羽根和人)