また、広島の強さはドラフト戦略にもある。広島は、一般的に「ドラフトで将来有望な高校生を獲得し、一流選手にする」と言われているが、今年のレギュラー選手は大卒や社会人野球の経験者も多い。田中広輔(1億4000万)はJR東日本、菊池涼介(1億9000万)は中京学院大卒だ。エースの大瀬良大地(6300万)は九州共立大。そのほか、松山竜平(6500万)や石原慶幸(9000万)も大卒だ。

 それに対して、クリーンアップを打つ丸佳浩(2億1000万)は千葉経大付高、鈴木誠也(9000万)は二松学舎大付高、抑えのエースの中崎翔太(1億1500万)は日南学園高出身。チームの核は高卒選手が担っている。

 さきほど、ソフトバンクは選手の年俸総額が12球団でトップと紹介したが、シーズン3連覇を達成した広島も年俸が上がっている。現在の総額は20億9348万で、12球団中6位。リーグ3連覇を達成した今シーズンオフは、さらに上昇する可能性がある。

 広島もソフトバンクと同じくファンが多い球団で、1試合あたりの平均入場者数は3万1001人。ソフトバンクに次ぐ4位だ。ただ、本拠地のマツダスタジアムは客席が少ないことから、年間入場者数ではソフトバンクより33万人以上も少ない。黒字経営は続けていると言われるが、ソフトバンクとの資金力の差を埋めるのは容易ではない。

 昨年の契約更改では、MVPを獲得した丸が7000万円増にとどまったことが話題を集めた。丸は18年シーズン中にFA権を取得する予定だったため、広島が引き留めのために高額年俸+複数年契約を提示するかが注目されていたからだ。しかし、そのような提示はなく、丸も記者会見で笑顔を見せなかった。

 ソフトバンクとは違い、広島は過去に金本知憲や江藤智など、FA権行使による移籍を認めてきた歴史がある。丸は、今シーズンも打率.306、39本塁打とMVP級の活躍をした。FA宣言となれば複数の球団が獲得に動くことは確実で、去就が注目される。

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若手の成長が楽しみなソフトバンク